アメリカ大統領 貿易 輸入 輸出 関税 関税法

アメリカは自由貿易下でこそ国内産業の技術力を向上させ勝負すべき

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いまアメリカで、トランプ大統領が自国産業を護るために海外から輸入する鉄鋼製品とアルミニウム製品にそれぞれ25%、10%の関税を課す輸入制限を発動すると息巻いています。

対象国が定かではないため、米国製ハーレーダビットソンやリーバイスに対し報復関税を掛けるぞ!と世界中で反発が起こっている状況です。

3月9日(日本時間早朝)、トランプ大統領はカナダ及びメキシコを除く輸出国に対し当輸入制限を発動する大統領令に署名しました。現時点では日本も対象国に含まれています。

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関税とはそもそもなんぞや??

関税は、歴史的には古代都市国家における手数料に始まり、内国関税、国境関税というような変遷を経てきましたが、今日では一般に「輸入品に課される税」として定義されています。関税は、他の租税同様、その収入は国庫収入となります。かつては、国家の財源として重要な位置を占めていました。国家間の経済交流が活発化し、貨幣経済が浸透する一方、国家の財政規模が巨大になり、国家の徴収体制が整備されるのに伴い、財源調達手段としての関税の意義は相対的に小さくなっていますが、厳しい財政事情の下でこれを適正に確保することは重要となっています。他方、関税が課せられると、その分だけコストが増加し、国産品に対して競争力が低下することから、関税の国内産業保護という機能が生まれます。現在では、この産業保護が重要な関税の機能となっています。

以上は財務省が定義する「関税」ではありますが、もう一歩踏み込んで関税とは?を私なりに以下の通り定義しました。

私の考える関税政策

国内産業の保護、つまり発展途上の産業の成長させることを目的に海外からの安価な生産物の流入を抑制させるために関税を課すことで国内販売価格と同水準もしくはそれ以上の価格になるようにする。

更には、国内産業を保護するためだけに存在するわけではなく、国内産業に海外企業と競争させることで、技術発展による強い産業基盤を醸成させることが関税の存在意義であると考えます。

成熟した産業ならば技術で勝負すべし

国内産業の保護そして労働者の雇用確保という論点だけで課税だとまくし立てるトランプ大統領のやり方は稚拙なのではと思ってしまいます。

上述したことを踏まえ、トランプ大統領は国内産業を保護すると言っているものの、実のところ、既に成熟した産業である筈なのに競争力のない程に技術力が無いから競争関係を敢えて作らない、と宣言しているように聞こえてなりません。

トランプ大統領は海外からの生産物に対し関税を課し、結果、高額な加工物を購入することになる自国民が不利益に繋がることを考えないといけませんし、努力なく関税政策に甘える産業に成長は望めません。

アメリカが成熟産業である鉄鋼・アルミニウムに関税を掛けるのは情けないです。フェアではありませんし、欧州の各国がハーレーダビッドソンに報復関税を発動すると反発しているのも理解できます。

外の国々に圧力を掛ける前に、自国企業が成長できる政策を推し進めるべきではないでしょうか?

関税を課することで誰が得して誰が損するのか?

関税を課すことで、本来は安価な生産物を購入できたであろう国内消費者の機会損失につながるため、結果として国民の不利益にも繋がる可能性があります。

このことは保護産業である日本の農業にも言えると思います。TPPにて自由貿易を推進すれば競争力のもと貿易が成立するため、価格が低く高品質な生産物を手に入れられる可能性、つまり国民の利益になる筈です。

しかしTPPを反対する農家は自らが競争出来ませんと白旗をあげているように見えてしまいます。技術革新を続ける農家はTPPを反対していないことを鑑みるにそのことは明白です。

恩恵を受けるはずだったアメリカ国内産業でさえも懸念表明

今回のトランプ大統領が息巻く関税発動行動は結果としてアメリカ国民の利益に繋がりません。現に、今回の保護の対象である米アルミニウム業界からでさえも反対意見が出ています。

アメリカでの関税政策の発端(報道記事より)

トランプ米大統領は1日、鉄鋼製品に25%、アルミニウム製品に10%の関税をそれぞれ課す輸入制限を発動する方針を表明した。米商務省は1月、国内関連産業の維持には生産拠点の稼働率を80%以上に高める必要があるとの報告書をまとめ、全輸出国を対象に鉄鋼には最低24%、アルミには最低7.7%の関税を課すなどと明記した複数案をトランプ氏に勧告していた。

 

輸入制限で利益を得る鉄鋼・アルミ業界を除く米産業界は、トランプ政権に慎重な検討を訴えていた。鉄鋼・アルミ製品が値上がりすれば、自動車や建設、飲料など幅広い産業で悪影響が出るためだ。米自動車大手3社でつくる米自動車貿易政策評議会(AAPC)は2月、「米自動車産業の競争力を減退させない方策を求める」と要請。与党共和党の重鎮で、通商政策を所管するハッチ上院財政委員長も1日、「関税引き上げは米国民にとって(製品価格の値上がりを通じた)増税にあたる」として再考を促す声明を出した。

 

欧州連合(EU)が報復措置の準備を急いでいる。ハーレーダビッドソンやリーバイスなど米国を象徴する製品に高関税を検討。7日には改めて報復姿勢を鮮明にし、世界の2大経済圏による「貿易戦争」に発展する可能性が一段と強まってきた。「バイクを売ることができなくなってしまうのか」。ロンドン中心部のオートバイショップ。ハーレーを販売する男性店員(38)が困惑した様子で語った。報復関税の「標的」とされたハーレーは「販売や供給網、顧客に重大な影響を及ぼす」との声明を発表。リーバイスも声明で「我々は自由貿易を支持している」と表明した。

 

発動を支持してきた米アルミニウム協会は6日、全輸出国を対象にする手法では雇用に悪影響が及ぶとして「深い憂慮」を表明し、反対に転じた。アルミ協会のハイディ・ブロック会長は、トランプ氏宛ての書簡で「(現在の手法では)中国の過剰生産という根本問題に対処できず、他の国々との生産網のつながりに打撃を与える。我々の業界にとって害悪の方が大きい」として、対象を中国などに絞るよう求めた。一方、鉄鋼・アルミを使用する自動車や石油、化学などに加え、報復措置の標的になる大豆や豚肉といった農業団体が連携して反対運動を行う団体を結成した。「鉄鋼・アルミ業界より、使用する業界の方が雇用や生産高の点で40~50倍も影響が大きい」として、議会に公聴会開催などを求めていくという。

 

欧州連合(EU)のマルムストローム欧州委員(通商担当)は7日の記者会見で、トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムに輸入制限措置を発動する方針を示したことに対抗し、「準備が整い次第、世界貿易機関(WTO)に提訴できる」と警告した。

 

米鉄鋼大手USスチールは7日、米中西部イリノイ州にある休止中の溶鉱炉と製鉄設備を再稼働させると明らかにした。トランプ政権が鉄鋼製品に新たな関税をかける方針を示したことを受け、米国内で生産する製品の需要が増えると予測されるためとしている。操業を再開するのはグラニット製鉄所。「世界的な過剰生産があった」などとして、2015年末に二つの溶鉱炉を止めていたが、うち一つを再び動かす。月内に従業員500人を呼び戻し、4カ月かけて操業準備を進める。

 

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