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自衛隊と米軍の一致団結により実った漁業「安全宣言」

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三沢基地所属F-16戦闘機のエンジン事故による外部燃料タンク投棄

米空軍・三沢基地に所属するF-16戦闘機が離陸直後にエンジン火災による緊急事態の状況下、パイロットは航空機外部に装着している2つの燃料タンクを三沢基地周辺に広がる小川原湖付近の人家の無いところに投棄せざるを得なくなりました。結果航空機は安全に三沢基地に帰還することができ、また地上でも傷病者は発生しませんでした。

この事故が発生したのが2018年2月20日(火)午前8時40分頃のことでした。

そして事故からちょうど1ヶ月経った3月20日(火)に小川原湖での漁業に影響は無いとの安全宣言が出されました。

「安全宣言」漁再開へ=米軍タンク投棄1カ月-青森
米軍三沢基地(青森県三沢市)のF16戦闘機が小川原湖(同県東北町)に燃料タンクを投棄して1カ月となった20日、東北防衛局は湖の魚介などに問題がないとして「安全宣言」を出した。地元漁協は22日からシジミ漁などを再開する。青森県と東北町、小川原湖漁協、東北防衛局などは20日、町役場で会議を開催。防衛局は湖全域で魚介や水質などの安全性に問題がないと報告した。出席者らは湖で採れたシジミやシラウオを食べ、味を確認。蛯名鉱治町長や三沢基地のスコット・ジョーブ司令官は「おいしい」と話した。

「安全宣言」漁再開へ=米軍タンク投棄1カ月-青森 by JIJI.COM
Photo :「安全宣言」漁再開へ=米軍タンク投棄1カ月-青森 by JIJI.COM

安全宣言が出されるまでの間、米軍側は横須賀と佐世保の海軍基地に所属するダイバーを、そして自衛隊側も海上自衛隊よりダイバーを派遣し小川原湖に散らばった燃料タンクの破片や燃料の回収に努めていました。

米軍が発生させてしまった事故ではありますが、米軍の強大な軍事力による抑止力のもと日本の平和も担保されている状況下、自衛隊の協力も致し方ないのかなと思料しますが、湖に氷が張るほどの極寒の環境下において自衛隊・米軍の双方が協力し、小川原湖の環境回復に尽力したことは日本とアメリカの強固なパートナーシップの証でもあると思います。米軍もこの事故を開き直らずに、積極的に地元の漁業者のために誠実に尽力してくれたことに感謝です。日米同盟という利権うずめく政治の世界であっても、やはり地元の理解こそが基地の存立基盤なのでしょう。

U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Deana Heitzman
Photo : U.S. Air Force Staff Sgt. Deana Heitzman

外部燃料タンクにはどれだけの燃料が搭載できる?

Photo of F-16 by U.S. Air Force Airman 1st Class Sadie Colbert
Photo of F-16 by U.S. Air Force Airman 1st Class Sadie Colbert

上記画像に映っているのは三沢基地所属F-16戦闘機です。両翼の下に大きなタンクがぶら下がっていますが、これが外部燃料タンクです。

米空軍のWEBサイトに記載されているF-16の仕様によると、内部タンクと外部タンク2つのタンク合計で12,000ポンド(=約5,443kg)の燃料を搭載することができるようです。内部タンクだけでは7,000ポンド(=約3,175kg)なので、外部タンクには5,000ポンド(=約2,268kg)の燃料を搭載することが可能です。

今回事故を発生させた航空機の外部燃料タンクにどれだけの燃料が搭載されていたかは不明ですが、18Lポリタンクに燃料を満載した場合の重さを18kgとした場合、ポリタンク約180個分の燃料となります。

F-16に使用する燃料の種類は?

米空軍・三沢基地が発表している記事によると、F-16戦闘機に使用している燃料は「JP-8」という種類のようです。

The 35th FW continues to provide a liaison at the lake and has an on-call spill team in the case the local community discovers debris or survey sample results determine remaining JP-8 fuel in the lake or wildlife.

なお、JP-8とはどういった性質の燃料か、ということについては以下記事に詳細が載っていますので是非参考にしてみて下さい。

まとめ

今回の燃料タンク投下事故は、パイロットがエンジン火災という緊急事態であるなかで民家の無い場所を意図的に選んで外部燃料タンクを投棄しましたが、落下した場所が地元漁業者の漁場となっている小川原湖であり、しかも付近で漁を行っていたことで、燃料による環境汚染及び人への直接的な被害が問題視されました。

もしパイロットが燃料タンクの投棄を行わなかった場合、航空機が爆発しさらに大きな事故及び環境被害が拡大していた可能性もあります。そんな切羽詰まった状況下でパイロットは適切な判断を下したのではないでしょうか。

不幸にも漁場を汚染させてしまい、漁業者の機会収入を奪うことになりましたが、自衛隊と米軍が一致団結し漁業を再開するにまで至ることができ本当に良かったです。これからも自衛隊と米軍、そして三沢基地周辺の住民と米空軍が良き関係であり続けますように。

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