Air Force One Boeing Boeing 747 アメリカ大統領 エアフォースワン

超高額エアフォースワンの特殊機能と合衆国大統領来日時の飛行制限

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アメリカ大統領専用機であるAir Force Oneが現行機種Boeing 747-200B型機より新型機Boeing 747-8型機に変更されることになり、バックアップ機との合計2機をボーイングより39億ドル(約4,200億円)で購入されることが判りました。

1機あたり2,100億円もする航空機ですが、一般的なBoeing 747型機との価格差や大統領専用機としての機能面について調査しました。

Trump, Boeing Reach $3.9 Billion Deal for New Air Force One - Bloomberg

次期Air Force Oneと同型機であるBoeing 747-8型機の価格比較

次期Air Force Oneは2機の合計が約4,200億円で1機あたり約2,100億円もすることが判りましたが、ボーイングが各航空会社に販売している価格との差について調査しました。

結論から言うと、Air Force Oneは航空会社向け同型機と比較し約4倍の価格となります。どれほどの特殊機能が備わっているのかがよく分かります。

ボーイングが発表する平均的な契約価格

ルフトハンザ航空向け旅客機の価格

かなり古い契約となりますが、2006年12月に発表されたボーイングとルフトハンザ航空におけるBoeing 747-8型機の契約は20機で55億ドル(USD 5.5 billions)でした。1機あたり2.75億ドル(=USD 275 millions)なり、大量発注による割引価格が適用されていることが判ります。

ちなみに当時の為替レート(2006年12月6日TTM 114.9円)では20機で約5,820億円で、1機あたり約316億円となります。

The Boeing Company [NYSE: BA] and Deutsche Lufthansa AG today announced the carrier ordered 20 747-8 Intercontinentals. The Lufthansa order, with a total average list-price value of $5.5 billion, is scheduled for delivery beginning in 2010.

シルクウェイ・ウェスト航空向け貨物専用機の価格

2015年3月に発表されたボーイングとアゼルバイジャンを拠点とする貨物専用機運航会社であるシルクウェイ・ウェスト航空におけるBoeing 747-8F型機の契約は3機で11億ドル(USD 1.1 billions)でした。1機あたり3.67億ドル(=USD 367 millions)なり、割引価格が適用されていることが判ります。

ちなみに当時の為替レート(2015年3月3日TTM 120.6円)では3機で約1,327億円で、1機あたり約442億円となります。

BAKU, Azerbaijan, March 3, 2015 /PRNewswire/ -- Boeing [NYSE: BA] and Azerbaijan-based Silk Way West today announced an order for three 747-8 Freighter airplanes valued at more than $1.1 billion at current list prices.

 空飛ぶホワイトハウスと呼ばれる超高額Air Force Oneの機能とは?

Boeing 747-200B | Air Force One(The White House)
Photo : Boeing 747-200B | Air Force One(The White House)

アメリカ大使館のHPによるAir Force Oneの紹介

駐日アメリカ大使館のHPにてAir Force Oneの紹介ページがあるのですが、実は2つ存在しています。

  1. https://amview.japan.usembassy.gov/air-force-one/
  2. https://amview.japan.usembassy.gov/air-force-one-2/

1. に登場するのはオバマ前大統領、そして2.に登場するのはトランプ大統領です。それぞれのページを見てもらえれば判りますが、前オバマ大統領時代のページの方がプライベート感も出ていてAir Force One内で大統領がどのように過ごしているのかがよくわかります。

以下はアメリカ大使館によるAir Force Oneの紹介文の抜粋です。

アメリカ大統領は世界中どこへでも、即座に赴く用意ができていなければなりません。幸いにも現代は、大統領はさまざまな移動手段を持っており、そのひとつが大統領専用機「エアフォースワン」です。

厳密に言うと、大統領を乗せていればどの空軍機も「エアフォースワン」と呼ぶことができます。しかし、20世紀半ば以降、最高司令官を運ぶ設備を備えた特定の飛行機を指すことが慣例となっています。現在「エアフォースワン」と呼ばれているのは、特注のボーイング747-200B型機2機です。

エアフォースワンに初めて乗った大統領はジョン・F・ケネディ大統領で、1962年のことでした。現在、オバマ大統領が使用している機体は、ワイドボディ機のボーイング747-200B型2機で、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領の時代から使用しています。

2機はどちらを使っても機能は同じなので、常に予備の機体が存在していることになります。専用機には、有事の際に大統領の執務に必要なものが全て備えつけられています。

エアフォースワンは空中給油が可能なので航続距離は無限であり、大統領をどこまでも運ぶことができます。3階建てで総面積は約370平方メートル。大統領専用室には広い執務室、化粧室、会議室が備わっています。手術室にもなる医務室もあり、医師が常に搭乗しています。一度に100人分の食事を用意できる調理室もあります。

大統領専用室には、寝室、浴室、トレーニング室や執務室などがあります。

機内には、補佐官をはじめシークレットサービス、同行記者、ゲスト用のスペースもあります。大統領が旅先で必要とするサービスを提供するため、通常はエアフォースワンに先行して、複数の輸送機が目的地に向かいます。

通常、エアフォースワンが目的地に到着する前に、複数の輸送機が大統領専用車や警護車両、時には解体した大統領専用ヘリコプター「マリーンワン」を運びます

専用機を整備しているのは、ホワイトハウスから16キロメートルほど離れた場所に配備された第89空輸航空団の整備士たちです。セキュリティーの厳しい格納庫で最低でも週に一度、手作業でワックスがけをするため、いつも機体には汚れが見当たりません。

現在使用されている専用機のうちの1機は、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領政権時の1990年に納品されたものです。

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Photo : エアフォースワンの窓から外を見るオバマ前大統領と側近の息子たち(The White House)
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Photo : エアフォースワン内の執務室で会議をするオバマ前大統領 (The White House)
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Photo : 機内で愛犬「ボー」と遊ぶオバマ前大統領 (The White House)

Boeingによる現行Air Force One(727-200B)の機能紹介

  • Crew:26 (passenger/crew capacity:102)
  • Model:747-200B
  • Engines:General Electric CF6-80C2B1
  • Thrust rating:56,700 pounds, each engine (252 kn)
  • Long-range mission takeoff gross weight:833,000 pounds(377,842 kg)
  • Maximum zero fuel weight:526,500 pounds(238,800 kg)
  • Design mission zero fuel weight:46,000 pounds (20,865 kg)
  • Maximum landing weight:630,000 pounds(285,763 kg
  • Fuel capacity:53,611 gallons (203,129 L)
  • Range:7,800 statute miles
  • Wing span:195 feet, 8 inches(59.64 m)
  • Length:231 feet, 10 inches(70.66 m)
  • Height:63 feet, 5 inches(19.33 m)
  • Service ceiling:45,100 feet(13,747 m)

Air Force Oneは特殊機能満載であっても足回りの性能は通常旅客機と同一性能

Air Force Oneの最大着陸重量は285,763 kgですが、この重量は旅客便として運用されているBoeing 747-400型機と同一重量です。従い、足回りの強度については一般的な旅客機と同様であると推測できます。よって、万が一緊急事態が発生し緊急着陸を行われなければならない状況下においても、最大着陸重量に到達するまでは燃料放出による飛行は必要となります。

ランプ大統領のプライベート機「Trump Force One」について

トランプ大統領はアメリカ経済界の大物でもあるので、当然ながらプライベート機も所有しています。しかも、その機体はBoeing 757-200型機であり、航空会社にて小型旅客便としても使用されるような機種です。

以下画像は「Air Force One」と「Trump Force  One」の機能面を書き出したものですが、唯一Trump Force  Oneが勝っているのはベッドルームが2か所あることでしょうか。

air force one trump force one
The Telegraph

アメリカ大統領来日時の「空」の規制も厳戒態勢

2017年11月5日から7日の日程でトランプ大統領が来日しました。その際、道路が通行止当の規制され渋滞が発生しましたが、空も同様に空域規制され国土交通省航空局より航空関係機関に対し協力要請通達が11月2日出状されました。

『トランプ・アメリカ合衆国大統領来日に伴う警備協力について』は最終的には航空局より出状されていますが、もともとは「警察庁警備局長」より「国土交通省大臣官房 危機管理・運輸安全政策審議官」宛に、その後「国土交通省大臣官房 危機管理・運輸安全政策審議官」より「同省 航空局長」宛に、そして「国土交通省 航空局長」より各航空関係機関に対し警備協力依頼がおこなわれています。

そして、「国土交通省航空局安全部運航安全課長」より各航空関係機関に対し航空機の運航制限依頼が行われているのですが、その中で具体的にいつ・どこが制限される旨がNOTAMにて発令されています。面白いのが、安倍首相とトランプ大統領が昼食のステーキを食べた「銀座うかい亭」の上空も制限対象となっている点です。制限対象地点については『トランプ・アメリカ合衆国大統領一行の来日に伴う協力依頼について』を参照下さい。

安倍首相とトランプ大統領 銀座うかい亭
Photo : 安倍首相とトランプ大統領@銀座うかい亭(Business Insider)

まとめ

Air Force Oneが新調されBoeing 747-8型機が選定されることになり、バックアップ機との2機の契約金額が39億ドル(約4,200億円)にのぼることが判明しました。1機当たりの価格は旅客機として使用される同型機の約4倍であるものの、ホワイトハウスに代わる執務室、居住空間や防衛機能によりそのような高額となってしまうのも致し方ないと思われます。

またトランプ大統領が来日した際には航空関係機関に対しトランプ大統領の立ち寄り先上空には飛行禁止制限がとられるなど、イスラム過激組織によるテロ活動認知されていない日本であってもさすがは合衆国大統領です。

Boeing 747型機が世界の空からの存在感が薄まりつつあるなか、Air Force Oneが747-8型機となるのは喜ばしいことです。また新型機のペイントがどのようになるのかも楽しみですね。

参考情報

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