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ANA & NCAの業務提携によりJAL貨物部門は巻き返しを図れるのだろうか、、、(悲観)

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ANAとNCAが業務提携を正式に発表した

全日本空輸(ANA)と日本貨物航空(NCA)の業務提携が2月26日に両社よりプレスリリースされました。

Nippon Cargo Airlines B747 Freighter

Photo : Nippon Cargo Airlines

日本経済新聞が2月25日の日曜日に記事を出し、ガセ?かとも思いましたがANAと日経新聞の関係が良好であることも判ったような気がします。

 

 

ANAにおける貨物事業に対するこれほどの強気な姿勢は、やはり日本航空(JAL)にとどめをさし息の根を止めようとしているしか思えません。

『8.10ペーパー』が失効し、JALが(悪く言えば)調子に乗ってあれこれ手を出す前にANAはNCAと業務提携し貨物輸送力を背景にJALの牙城を崩す目論見が透けて見えます。輸送力が上がれば貨物輸送費用も下がり、それを武器にJALを利用している顧客の囲い込みをするはずです。 

 

御三家(ANA、NCA、JAL)の貨物輸送実績から見る各社の実力差

全日本空輸(ANA)の決算情報(2017年3月期)

【国内貨物事業】

  • 貨物収入:308億円
  • 貨物輸送重量:466千トン
  • 有償貨物トンキロ:472百万
  • 重量単価:68円/KG ※貨物収入÷貨物輸送重量

【国際貨物事業】

  • 貨物収入:933億円
  • 貨物輸送重量:954千トン
  • 有償貨物トンキロ:4,150百万
  • 重量単価:98円/KG ※貨物収入÷貨物輸送重量

====================================

【合計】

  • 貨物収入:1,241億円 (対JAL:158.7%)
  • 貨物輸送重量:1,420千トン
  • 有償貨物トンキロ:4,622百万 (対JAL:202.6%)

【参考資料】

日本貨物航空(NCA)の決算情報(2017年3月期)

  • 売上高:819億円
  • 貨物輸送重量:510千トン
  • 有償貨物トンキロ:3,075百万
  • 重量単価:160.6円/KG(想定) ※貨物収入÷貨物輸送重量

【参考資料】

日本航空(JAL)の決算情報(2017年3月期)

【国内線】

  • 貨物収入:222億円
  • 郵便収入:40億円
  • 有償貨物トンキロ:358百万
  • 郵便トンキロ:26百万

【国際線】

  • 貨物収入:433億円
  • 郵便収入:87億円
  • 有償貨物トンキロ:1,888百万
  • 郵便トンキロ:239百万

====================================

【合計】

  • 貨物郵便収入:782億円
  • 有償貨物トンキロ:2,281百万 (※除、郵便トンキロ)

【参考資料】

【用語】有償貨物トンキロ

貨物重量(トン)数とその貨物を輸送した距離(キロメートル)を掛け合わせて表される輸送実績のこと。1トンの貨物を1km輸送した場合のトンキロは1トンキロとなる。航空会社の扱う貨物はほとんどが荷主より貨物運賃を徴収する有償貨物であるが、災害支援等の無償貨物も輸送することがあることから、貨物重量を有償貨物のみに限り算出した値を「有償輸送トンキロ」と言います(単位はRTK;Revenue Ton-Kilometers)。

かつてJALとNCAは統合に向け協議していた

2010年1月19日に日本航空は東京地方裁判所に会社更生法の手続を申請、受理されたことを受け、株式会社企業再生支援機構を支援者に、経営再建の道を図ることとなりましたが、実は破綻前の2009年8月21日にNCAとの統合に向けた協議を行うとプレスリリースを行っていたのです。

そしてJAL破綻後の2010年1月29日には再度プレスリリースを行い、「両社の合意には至っていない」としました。

その後、統合に関するプレスリリースはJAL発表文書には残っていません。

「たられば」の話になってしまいますが、もしJALに余力がありNCAと統合できていれば貨物事業を経営の主力としJAL CARGOブランドが栄華することができたかもしれません。破綻前まではボーイング747型貨物専用機を保有していたJALなので、統合により再びJAL CARGOとペイントされたジャンボを見たかったものです。

JAL Cargo | Boeing 747 Freighter

Photo : JAL Cargo | Boeing 747 Freighter

まとめ

各航空会社が発表している貨物輸送実績より、JALはANA/NCA連合の足もとにも及ばない輸送力です。従い、JALは得意としている、様々な場面でケアが必要となる超付加価値貨物輸送案件により特化し営業展開をかけるのではないでしょうか。 

ANAとJALの動きを客観視できる俯瞰者としては、今後の両社の戦略が楽しみです。JALは巻き返しをはかれるのか、もしくはまともに勝負させて貰えないのか。 

ただANAは貨物輸送量が増えたとしても、それにおごることなく、フォワーダーへの手厚いフォローは必要です。高額な運賃を払ってまで航空機にて輸送しなければならない背景がある航空貨物の本質を忘れず、荷主とフォワーダーに寄り添った関係の構築が必要です。

 

 

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