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航空機にて輸出される貨物の税関関連業務

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航空会社が運航する航空機には旅客と貨物が搭載されます。旅客は旅客ターミナルにてチェックインの後、イミグレーションを通過しゲートへ向かい航空機に搭乗の流れになります。では貨物の流れはどうなっているのでしょうか、今回は税関への申告の観点で説明したいと思います。

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輸出しようとする貨物は保税蔵置場に搬入されなければならない

貨物代理店(フォワーダー)や通関業者に搬入された貨物は保税蔵置場に搬入されます。保税蔵置場とは税関より許可を受けた上屋のことで、外国貨物はこの施設に蔵置されなければなりません。従い、輸出申告を行おうとする貨物についても保税蔵置場に搬入されなければなりません。

保税蔵置場に搬入された貨物は航空機に搭載されるのに必要な検量(重量測定)・検尺(サイズ測定)・カーゴラベル貼付・爆発物検査等が実施され、税関への輸出申告の準備を行います。

その後、通関業者(フォワーダーは通関業者を兼ねていることもある)にて輸出申告がなされ、税関の検査を経て輸出許可が得られます。輸出許可となった貨物は外国貨物となり、海外に輸出できる状態となります。

保税蔵置場から保税蔵置場への移動にも税関の許可が必要

当然貨物は自ら動くことができないので、トラック等に積載され空港にある貨物ターミナルまで輸送されることになります。なお、国際線航空機に搭載する貨物を取り扱う貨物ターミナルも保税蔵置場となっています。

この際、通関業者の保税蔵置場から貨物ターミナルの保税蔵置場まで輸送することになりますが、外国貨物のままの状態で輸送されることから、保税蔵置場間の輸送のことを「保税転送」と言います。なお、保税転送するためにも税関の許可を得る必要があり、搬出元(発送元)の通関業者は税関に対し搬入先までの保税転送申告を行います。通常、税関への申告は税関システム「NACCS(ナックス)」にて行われ、保税転送許可書としてLOCAL DELIVERY RECEIPT(LDR)が発行されます。原則LDRと貨物は一緒に動かなければなりません。

  • NACCSによる貨物搬出業務コード:EXA、EXM、EXU

空港の貨物ターミナルの保税蔵置場に到着した貨物はターミナルの荷役作業者によってトラックより取り降ろされ、荷役作業者はLDR記載内容と貨物を対査照合しLDR記載貨物が確実に到着したことを確認します。

ちなみにLDRには以下項目が記載されています。

  • LDR番号
  • 搬出元保税蔵置場の番号
  • 搬入先保税蔵置場の番号
  • 貨物搭載空港名
  • AWB番号
  • 貨物個数
  • 貨物重量
  • 貨物品名
  • 貨物仕向地

空港内貨物ターミナルに到着した貨物の受託チェック

荷役作業者によって到着が確認された貨物は貨物ターミナルの上屋内に引き込まれます。また事務担当者により税関に対し当該貨物が到着したことをNACCSにて報告します。この行為を搬入確認と言います。搬入確認はLDRに記載されているLDR番号をNACCSに登録することで完了します。

  • NACCSによる貨物搬入業務コード:BIL、BII

貨物ターミナル内の上屋に引き込まれた貨物は荷役作業者によってULDに積み付けされます(Build Up)。そして貨物が積み付けされたULDは計量器にて計量され、その計量結果は航空会社の航務部門へ通知され、またULDは航空機搭載担当部門へ引き渡されます。  

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貨物をどの航空機に搭載するのかも税関に申告しなければならない

航空機に貨物が搭載される場合、どの航空機(フライト)に貨物が搭載されるかを税関にNACCSにて申告しなければなりません。

  • NACCSによる貨物搭載業務コード:FLI(搭載便割当情報登録)

当業務においてNACCSに申告する内容は以下の通りです。

  • 貨物搭載便の便名(例:JL002/17FEB)
  • 貨物搭載便の到着地(例:SFO)
  • 搭載する貨物のAWB番号(例:131-XXXXXXXX)
  • 当該AWBの貨物個数
  • 当該AWBの貨物重量

貨物が確実に航空機に搭載されたことを税関に申告しなければならない

搭載担当部門に引き渡されたULDが航空機に搭載され航空機は無事出発することができました。その際、税関に対しNACCS業務コード「FLI」にて申告した貨物が外国貿易機に搭載した旨を税関にNACCSにて申告しなければなりません。

  • NACCSによる貨物搭載完了業務コード:CLA(搭載完了登録)
  • NACCSによる貨物搭載完了終了業務コード:CLEI(搭載完了終了登録)

以上が通関業者の保税蔵置場より空港内貨物ターミナルの保税蔵置場に搬入された貨物、貨物ターミナルにてULD積み付けが終了し航空機に搭載された貨物における税関対応となります。

まとめ

貨物は旅客のように自らが動けないため、人が関与し税関への申告を行なわなければなりません。また保税蔵置場の被許可者(倉主)は保税制度に基づく自主管理制度において、貨物の搬入・搬出を確実に管理しなければなりません。また貨物を航空機に搭載するにあたり、税関に対し何度もNACCSによる申告等が必要になります。輸出しようとする貨物であっても外国貨物という特殊な貨物を扱う以上、海外から輸入する外国貨物と同様の性質を持つ為、慎重な取り扱いが要求されます。 

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