業務提携しているX航空より以下の通知が私の勤務する会社宛てにありました。
本来はY航空でA空港からB空港向けに輸送されるべき航空貨物の危険物が、A空港からC空港向けにX航空にて輸送されてしまった。その危険物がC空港にて発見された。
この事象を受け、我が社では以下の内容にてチームメンバーに対し事例周知と注意喚起を行いました。
無申告危険物輸送事象に係る事例周知と注意喚起
出発地:A空港(危険物の誤輸送を発生させた)
到着地:C空港(危険物の誤輸送を発見)出発地A空港では、Y航空で輸送すべき危険物をX航空で輸送してしまいました。
当該貨物はX航空、Y航空で輸送するものと外装及び重量が同一であったものの、受託時チェック(カーゴラベル、DGマーキング等)、ULD積付時チェックが手順不履行であり、発見に至ることが出来ませんでした。【どうして危険物を誤輸送してはならないのか??】
- 危険物が航空機に搭載される場合、機長は「貨物室のどの場所に」「どんな危険物が」「どれだけ積載されているか」を把握しなければなりません。
- 機長が「貨物室のどの場所に」「どんな危険物が」「どれだけ積載されているか」を把握する為の資料がNOTOCです。
- 機長はNOTOCに記載されている内容を認識しNOTOCに署名します。
- 万が一貨物室内で火災等が発生した場合、機長はNOTOCを確認し、それぞれの危険物に応じた対処方法を『Emergency Response Guidebook』に基づき判断し必要処置を行います。
- 危険物に対する必要処置は危険物の種類によって異なる為、機長は危険物の種類を確実に認識する必要があります。
- その為に、危険物の誤輸送は絶対に許されません。必要処置を誤った場合、航空機が墜落する可能性もあります。
危険物を誤輸送することで危険物を起因とする事故が発生した場合、対処が手遅れとなり被害が拡大する恐れが十分に考えられますので、航空機の安全運航に携わっているという使命・責任感をもって危険物受託チェックは確実に実施願います。
また、周知時には過去に発生した危険物を起因とする航空機事故の報道記事等を航空機事故の怖さを認識できるよう付け加えました。
伝え方の工夫は物事の本質を理解させることに限る
心理学的なことは私自身わかりませんが、他人に物事を理解・認識させる際は「~だから気を付けましょうね」と言っても本人達は表面的な知識は植え付けられるものの、自ら考えて行動するには至りません。したがい本人達が腹落ちし納得することが重要です。
今回の危険物誤輸送の事例周知の本題は「危険物の誤輸送はダメです。だからしっかり危険物受託チェックをしましょう。」ですが、どうして危険物の誤輸送がダメなのか理解させるために機長へのNOTOC提出を引き合いに出しました。
NOTOCとは「NOtification TO Captain in command」のことで、危険物や特殊貨物を航空機に搭載する場合に機長に対し「貨物室のどの場所に」「どんな危険物が」「どれだけ積載されているか」を伝えるための用紙のことです。航空会社によってはコックピットに電文が送信され伝えられるようですが、一般的には用紙が使用されます。
パイロット目線での危険物の搭載について
上述の周知はチームメンバー宛にEmail発信したのですが、その後「Emergency Response Guidebook」「Pilot」にてGoogle検索をかけたところ現役のパイロットが危険物について書かれたブログを発見したので、私としてはEmailの再送は注意散漫になるので好ましくないと思いつつ、発見したブログ記事をどうしてもチームメンバーにも読んでもらいたくてブログのURLを記載のうえEmailを再送信しました。
パイロット目線での危険物に関するブログがありました。
http://flightlogbook.hatenablog.jp/entry/20130212/1360652543
航空機好きなら引き込まれるブログ
flyingtonyさんのブログは航空機好きなら絶対に引き込まれてしまうでしょう。日系エアラインでのパイロットを経験し、今は海外でパイロットの教官もおこなうベテランパイロットのトニーさんがパイロットの日常を記事にしています。
このブログを見つけてから、会社から自宅への通勤中はずっと記事を読みあさってしまいました。是非ご覧になってみて下さい。