会社からの帰宅時にスマホをイジイジしているとYahoo!記事で「空港の手荷物引取所で自分の荷物をかならず一番先にゲットする方法とは?」というタイトルがありました。記事を読むと"最後にチェックインすればよい"だの"壊れもの扱いにする"と書いてありましたが実態はどうでしょうか。
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預け入れ手荷物はULDに積載される
手荷物は基本的にLD3というULDに積載される
例えばワイド機に搭乗する際、私たちの手荷物は基本的にULDに積載されます。ULDの種類でも手荷物用には原則としてLD3(エル・ディー・スリー)というタイプのものが使用されます。よく空港のスポットで6台くらい連結されながら引っ張られているアレです。ULD番号は「AKE」で始まるものが一般的です。
チェックインされた手荷物(以下、BAG)はベルトコンベヤーに乗り、X線を照射され保安チェックされ、そして最終的にソーティングというBAGの分別場所に到着します。このソーティングでBAGは旅客のプライオリティに応じて準備されたLD3に積載されることになります。
預け入れ手荷物用のLD3は旅客プライオリティ毎に準備される
旅客のプライオリティと言っても偉い人・偉くない人という訳ではなく、エコノミーやビジネスクラス、ファーストクラスに応じてLD3が準備されますが、更には上級会員用や到着地空港で更に乗り継ぎする旅客用というように細かく分類されています。
ここからが航空会社の良くできたサービスなのですが、到着地の空港に航空機が到着後、一番最初に航空機から降りるのはファーストクラスやビジネスクラスの旅客であり、彼らが最初にバゲージ・クレームに到着しBAGを受け取ることになります。
つまりここで何を言いたいかというと、到着地空港に航空機が到着し、貨物室ドアが開いた場所にプライオリティの高いBAGを積載したLD3が搭載されていて、地上スタッフは真っ先にこれらLD3を取り降ろし到着便ソーティングへ搬送するのです。
ファーストクラス旅客の手荷物が一番早く航空機より取り降ろされる
上顧客の手荷物が積載されたコンテナは貨物室ドア付近に搭載される
下の画像はLIR(Loading Instruction Report)というもので、航空機のWeight &Balanceを鑑みたうえで貨物室のどのポジションにどのULDを搭載するかを示したもので、地上スタッフはこの表を確認しながらULDを搭載します。
例えば、42Rというポジションには「AKE86239XX」というLD3を搭載し、その中身は「BF」つまりBaggage First Classを意味します。また搭載ポジションの横には「DOOR」と記載されていますが、これが貨物室ドアです。つまり、航空機がスポットインして貨物室が開いたら直ぐに取り降ろして搬送できるポジションがDOOR SIDE(ドア・サイド)でありプライオリティ・バゲージの特等席なのです。
この航空会社が使用するボーイング777-300ER型機の場合、前方貨物室及び後方貨物室のどちらでもPallet ULDが搭載できるので後方貨物室にBAG用LD3を搭載していますが、航空会社によっては後方貨物室のみPallet ULDが搭載可能ということもあり、その場合は前方貨物室のDOOR横にいわゆる「BF」用LD3を搭載します。
Loading Instruction Reportに記載されるBAGの種類
上記では「BF」はFirst Class旅客と述べましたが、その他分類についても説明します。なお、下記分類は、とある航空会社の規程になるので、航空会社によっては記号が変わることもあるかもしれません。
- BF : First Class Baggage
- BP : Business Class Baggage
- BY : Economy Class Baggage
- BH、BS、BT : Transfer Baggage
- X : Empty(ULD内は空)
- C : Cargo(貨物)
- M : Mail(郵便物)
- E : Aircraft Spare Parts(航空機部品)
- S : Sort Container(貴重品等を収納するために鍵付き)
- D : Crew Baggage
- Q : Courier(クーリエ)
- N : Non-fit Position(当該ポジションにULDは搭載されない)
まとめ
『ネタりか』では最後にチェックインカウンターでドロップすれば到着地空港で一番最初にBAGをピックアップできると述べていましたが、実際の運用では旅客プライオリティに応じたLD3にBAGが積載され、またプライオリティに応じた貨物室ポジションにLD3が搭載されます。従い、もし到着地空港で一番最初にBAGをピックアップしたい場合、ファーストクラスの旅客になり且つ一番最後にチェックインカウンターでドロップすれば可能性は格段に高まるものと考えられます。
ただ、私だったらもしファーストクラスに搭乗できるのであれば、チェックイン開始時間を待つように並び素早くチェックインし、その後にファーストクラス専用ラウンジを目いっぱい楽しみたいな。

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