台風21号は羽田空港の運行にも大打撃でした。特に海外発羽田空港行のフライトは第三国に目的地変更(ダイバート)したりしたため、羽田空港に到着するのが半日以上遅れたとケースもありました。また外国航空会社は機材の替えが無いため、殆どの航空会社はターンアラウンド運航(機材が来てそのまま戻る)のために到着が遅れると出発もそのまま遅れてしまうのですが、やはり羽田空港をベースとしている日系航空会社は機材繰りがうまくいっていたようで、海外向け出発便に関しては機材繰り事由による遅延は殆どなかったようです。なお、機材豊富な日系キャリアですが、さすが台風の強風には逆らえず、重量の軽い航空機(B737等)はスポット駐機させておくことが出来ず退避していたようです。
Amazing video of 747 lifting in place in extreme wind conditions - 1080P HD
さて、先日羽田空港における航空気象を上手に活用してデートを成功させる術をお伝えしましたが、今回は台風21号における羽田空港の航空気象を考察したいと思います。
気象庁発表の飛行場気象解説情報の正確性
以下画像(10月22日(日)1600~23日(月)2100までの飛行場気象解説情報のスクリーンショット)によると、23日(月)0300~0900までは南からの強風が吹いており、「50G65」と表記されているように「平均風速50ノット(秒速25.7m)において65ノット(秒速33.41m)の突風が吹く」と予報されています。そして、北に延びるRWY34(A滑走路及びC滑走路)は当然追い風となり最大43ノット(秒速22.102m)もの南風が押し寄せるとなっています。なので、通常向かい風で離陸・着陸する航空機は南風運用を適用することになります。つまり、23日(月)0300~0900まではにおいて離陸はRWY16L/Rを使用することになると予測できます。
しかし!滑走路の運用状況を確認すると北風運用なのです
羽田空港飛行コース(実運用):https://www.franomo.mlit.go.jp/Login.action
飛行場気象解説情報によると10月23日(月)0300~0900までは南からの強風が吹き荒れると予報されていたものの、実際の羽田空港の滑走路運用状況を確認すると以下画像のようにRWY34を使用していました。そこには「LDG RWY 34L DEP RWY 34R」(着陸用滑走路は34L(A滑走路)、離陸用滑走路は34R(C滑走路))と表示されていました。つまり飛行場気象解説情報により予測される離陸用使用滑走路RWY16L/Rと矛盾が生じてしまいます。予報と実運用では真逆の風向きなのです。
そこで、再度飛行場気象解説情報を確認してみると
10月22日(日)1600~23日(月)2100までの飛行場気象解説情報により予測される使用滑走路(南風運用)と実運用滑走の向き(北風運用)に矛盾が生じていましたが、その後再度飛行場気象解説情報「10月23日(月)0900~24日(火)0000」を確認してみると前回は南風予報となっていた10月23日(月)0900の予報が、更新版では290度(西北西)というように北風運用となっていることが判りました。
まとめ
羽田空港という局所的な場所に絞っての気象予報を検証してみましたが、スーパーコンピューターを使用している(であろう)状況であっても、やはり自然には勝てないということでしょうか。ただ、台風通過後の羽田空港は真っ青な晴天となったものの、強風が吹く荒れる状況でしたので、その点においては「18G28」(G:GUST:突風)というように突風予報も出ていますので、予報は当たっていると言えるでしょう。
なお、今回は台風時における空港気象の検証をおこなってみましたが、誰も好き好んで台風のなか羽田空港にまで足を伸ばそうとは考えないはずなので、普通の天候時に航空気象を活用してデートを成功させてみて下さい。あえて台風の羽田空港を楽しもうとするのであれば、スケジュールの乱れにより海外の同じ航空会社の複数の機体が国際線スポットに駐機しているのを見られることでしょうか、、、。