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深夜早朝時間帯における羽田空港の北向き離陸制限について

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前回の記事にて羽田空港における北向き離陸の影響で貨物が搭載出来ない可能性があることを説明しましたが、ここでは北向き離陸の制限についてもう少し詳しく説明したいと思います。 

さて、JEPPESENというパイロットにとっては必需品となる全世界の空港の離着陸方法等を網羅した地図を製作している企業があるのですが、その地図の羽田空港版より深夜早朝帯における北向き離陸の制限について抜粋のうえ日本語訳してみました。

まず、ここで定義されている深夜早朝帯とは「From 1400 UTC to 2100 UTC」であり、日本時間にすると「23時から6時まで」となります。つまりこの時間帯における滑走路34Rを使用した北向き離陸について以下の通り説明します。

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騒音軽減手順(騒音軽減を目的とした優先ルートと航空機運航手順)

  1. Rwy 05(北風運用時に適用される)もしくはRwy 16L(南風運用時に適用される)が優先し使用(preferentially used)される。
  2. もしRwy 05とRwy 16Lが利用できないときはRwy 16Rが使用される。
  3. Rwy 34Rは下記AもしくはBの状況下における北風運用が適用される場合、もしくはRwy 16L/Rが安全な離陸に適さない場合に限り利用可能となる。しかしながら、すべてのケースにて、すべての航空機はRwy 34R末端より2500メートルの滑走路長にて離陸し、また出発の際はRwy 05/23の利用制限と同じかもしくは下回る航空機重量、主脚荷重、車輪荷重を維持しなければならない。(その理由として、あくまでもRwy 34RはRwy 05の代替として使用されるためである。)しかしながら、この条件は性能や航空路等を考慮して事前に許可を受けた特定のフライトには適用されない(「特定のフライト」)。この場合、すべての特定の航空機はRwy 34R末端より3000メートルの滑走路長にて離陸しなければならない。【A】Rwy 05が閉鎖されている場合。【B】出発の際の風の状況にて、横風もしくは追い風がRwy 05の離陸制限を超過している場合。

NOISE ABATEMENT PROCEDURES(Preferential Routes and Aircraft Operationg Procedures for Noise Abatement)

  1. Rwy 05 (North wind operation applied) or Rwy 16L (South windoperation applied) is preferentially used.
  2. When Rwy 05 and Rwy 16L are not available, Rwy 16R is used.
  3. Rwy 34R is available only when North wind operation applied, under following A. or B. circumstance, and Rwy 16L/R does not suit for safe take-off. However, in each case, all aircraft should take-off with 2500m Rwy length from Rwy 34R threshold and keep its weight, main gear load and wheel load, on departure, at or below the limitations for Rwy 05/23 (because Rwy 34R is used as a substitute for Rwy 05). However this does not apply to flights that is specified and allowed in advance in consideration of the performance and route distance, etc. "Specified flights". In this case, all specified aircraft should take-off with 3000m Rwy length from Rwy 34R threshold.

A. Rwy 05 is closed.

B. The wind condition on departure exceeds crosswind or tailwind take-off limitations of Rwy 05.

まとめ

北向き離陸が可能となるのは、南向き離陸が安全を確保できない場合、北風運用時に通常使用されているRwy 05が閉鎖されている場合、Rwy 05が風の影響で離陸制限を受けている場合に限られるものの、Rwy 34RはあくまでもRwy 05の代替として使用されるものであるので、Rwy 05使用制限重量よりも小さい航空機重量であることや、2500メートルの滑走距離にて離陸しなければならない条件があるようです。但し、事前に許可を受けたフライトについてはこれら条件の制限を受けずに3000メートルの滑走距離を使用することができるとのこと。つまり、事前に許可を受けたフライトであれば、3000メートルの滑走距離さえ守るのであれば重量制限も受けずにRwy 34Rを使用できるのですね。 但し、3000メートルを守るためにぺイロードに重量制限が掛かりそうですが、、、。

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