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何回か履くと穴が開いてしまうユニクロの安価な靴下に使用されたハイテク技術
皆さん、ユニクロにて販売されている靴下にハイテク技術が使用されていることをご存知だったしょうか!?何回か履くと指先部分に穴が開いてしまうような品質ですが、そんな靴下にでさえ、現代技術が使われているのです。
私が普段着用する靴下は基本的にユニクロで購入する4足1,000円のものが殆どです。先日、新たに購入した靴下のタグを外そうとした時に偶然発見したことを今回は述べさせて頂こうと思います。
さて、突然ではありますが、ユニクロの兄弟分であるGUの店舗で試験的にセルフレジを導入していることはご存じでしょうか?
実は、このレジ、スーパーなどに設置されているバーコードをピッピするレジではなく、レジの中に設置されたBOXに購入したいものを全て入れることで勝手に値札をスキャンし精算に進められる画期的なレジなのです。
どうしてそんなことが出来てしまうのでしょう? そこに隠された秘密こそが、昨晩私が偶然にも発見してしまったものに結び付くのです。
ユニクロの値札タグにはRFIDが隠されれている?
実は、値札を電灯にかざしてみればよく分かるのですが(画像参照)、中に回路のようなものが見えます。これ、RFID(電子タグ、Radio Frequency Identifierの略)と言って、この回路の中に多くの情報を詰め込むことが出来るのです。
なので、この値札をレジのBOXに入れてしまえば、レジの中で発生させた電波が商品情報(価格等)を読み込める仕組みなのです。

RFIDには電源が組み込まれているの?
ここで、こんなペラペラしたシール(値札)に電波を発する電源はあるのか?という疑問も生まれますが、RFIDには大きく3つの種類があり、アクティブタグ、パッシブタグ、セミアクティブタグがあります。
- アクティブタグ:電源が備わっており自ら電波を発することができるもの。
- パッシブタグ:読み取り機(リーダー)より発せられた電波をエネルギー源としてRFID内の情報をリーダーに飛ばすことがでるもの。
- セミアクティブタグ:電源を持ちつつ、情報の発信はリーダー側からの通信により起動できるもの。
つまり、ユニクロの値札に内蔵されているRFIDはパッシブタグということになります。こんなハイテク機器がたかが靴下の値札に内蔵されているとは驚きではありませんか!? そして、更に、こんなにもハイテク機器を値札に埋め込むことでコスト高になるのでは?という疑問も湧くのではないでしょうか?
最近の技術の進歩によりパッシブタグは10円以下で製造できるようになっているようです。とは言っても、値札にそんなにコストをかけるの??と疑問に思うはずです。
値札タグにRFIDを忍び込ませる理由は?
それこそが最先端企業のユニクロの戦略であります。
- 今まではレジのスタッフが商品一点一点のバーコードをスキャナーにかざして精算していましたが、このRFIDを活用することで一瞬ですべての商品の値札をスキャンすることができるのです。
- 一日に何人もの客がレジを通過することを考えれば、レジ打ちだけでも大きな「工数=コスト」になる筈です。その生産性を「向上=人件費削減」させるために導入されたのがまさにRFIDを内蔵する値札です。
- 値札は各国の生産拠点で貼られたうえで輸入されている筈ですので、生産拠点から販売店へのロジスティクスも把握でき、より効率的な物流を目指すことになるのでしょう。
- 商品が店舗に納品されてからも、ハンディ・ターミナルのような機器を商品にかざせば瞬時に在庫を読み取れ棚卸の労力も劇的に削減されるはずです。
まだユニクロはセルフレジを導入していませんが、近い将来始まることは間違いないでしょう。ユニクロ及び客の双方がWIN WINとなる画期的な仕組みです。
是非皆様も、ユニクロの値札に組み込まれたRFIDを見てみて下さい。
小さな発見でも、大きな感動につながること間違いありません。
「レジロボ(R)」RFID(電子タグ)を導入した実証実験
2018年10月11日に発表された「サプライチェーン改革について」
※追記:2019年2月3日
株式会社ファーストリテイリング グループ執行役員 神保氏より「サプライチェーン改革について」と付されたプレゼンテーション(プレスリリース)が発表されました。
この主題に紐付く形で3つのポイントについて述べられ、その中のひとつに「今後のサプライチェーン」があります。
その「今後のサプライチェーン」では、前項『値札タグにRFIDを忍び込ませる理由は?』にて私が述べたRFIDを活用することのメリットと同じことが記載されているではありませんか。
超優秀人材が多数在籍するファーストリテイリングと私の意見が一致していることになんだか喜びを感じます。
サプライチェーン全体では、RFIDを導入したことで、情報数値の見える化、SKU管理の徹底、個店経営の実現を行っています。これは、生産段階からRFIDタグを全商品に付与し、全領域でのSKU管理を徹底することにあります。また、働き方の変革においても、グーグル社との提携を通し、G Suiteのような仕組みを活用することで、世界中の生産工場、倉庫、店舗、ヘッドクォーター、本部をダイレクト、かつシームレスにつなぎ、即断・即決・即実行ができる経営体制を構築していきたいと考えています。
最後にRFIDの具体事例をご紹介します。現状の課題として、どの商品が、どのぐらいつくり終わっているのか、そのつくられた商品が、いつ、いくつ工場から倉庫に届くのか、どこの倉庫にどれだけの商品があるのか、その倉庫を出た商品が、いつ、いくつ、どの倉庫から店舗に届くのか、店舗では、売り場とバックヤードに、どれだけの商品があるのかといったことが、完全に把握できていませんでした。これを、RFIDを全商品に付けることで、どこにどれだけの商品があるのかを、瞬時に正しく把握することができるようになります。在庫情報を、各領域超えて共有することができるようになるため、サプライチェーン全領域で完全連動したSKU管理を実現できる体制が整ったと考えています。商品の確認作業も、今までは在庫数を把握するために、人海戦術で行っていたため、時間がかかり、人的エラーも発生していました。RFIDを導入したことにより、在庫を瞬時に確認でき、エラーも大幅に削減できています。この結果、それが販売機会ロスの撲滅、売上増に直接つながると思っています。お客様がご不満に感じていることで、レジ待ちがありますが、これもRFIDタグにより、レジのプロセスが大幅に改善されます。また、店舗や倉庫の棚卸作業が瞬時にできるようになる、生産の出庫時の検品作業などのプロセスが大幅に改善され、コスト削減につながることが予想されます。


RFIDの導入がもたらすメリットは企業側のコスト削減のみならず、洋服を買おうとする客側のメリットにも繋がります。
RFIDを活用することで在庫や売れ行きをリアルタイムで認識できるため、"欲しい洋服が無い"といった事態も避けれられるようになります。
それが顧客満足に繋がり、ファーストリテイリングと客側双方のWIN WINとなります。
RFIDがもたらすメリットは凄まじいですよね。
ユニクロ「有明倉庫」は世界最先端自動倉庫
※追記:2019年2月3日
前項のプレスリリース「サプライチェーン改革について」が発表される2日前の2018年10月9日には、ファーストリテイリングとマテハン(=物流機器)業界 大手の株式会社ダイフクの戦略的パートナーシップについて発表されましました。
「株式会社ダイフクとの戦略的グローバルパートナーシップについて」
この中で、ユニクロの主要倉庫である有明工場がマテハンを導入したことによる生産性の劇的向上について記載されていますが、自動化されることにより迅速・正確が実現できます。
これから将来にわたり、人間が必要とされない分野がさらに増加していくのでしょうけれど、それに伴い必要とされる労働力となれるよう、子供たちには勉学にしっかりと励んでもらいたいですね。
最後に、ユニクロ「有明倉庫」の動画をご覧ください。