蒼空に近づきたくて

航空業界に生きるアラフォーサラリーマンが航空業界に興味を持ってくれる方々の為に航空機運航に関する豆知識をお伝えしていきたいと思っています。特にニュースとなる航空関係の話題を深堀りし背景等を解りやすく解説するように努めます。航空機運航には多くの「どうして?」が付きまとうので、皆さんの疑問のヒントになれるようなブログサイトを目指していきたいです。

航空機安全運航のために旅客体重を計測する試み

フィンランドを代表する航空会社であるフィンエア(Finnair)が旅客の体重を測定する試みを開始すると報道されていました。

航空機にとっての重量は安全を確保するうえで最重要視される

当ブログにおいても過去に何度も記事にしている通り航空機と重量は切っても切り離せない関係があり、3次元空間(空中)を移動する航空機にとって重量管理は安全を確保するうえで一番重要視されなければならない要素のひとつです。航空貨物においては貨物を積載されたULDは必ず計量器にて計量されたうえで航空会社の航務部門に共有され、航務部門はその重量をもとにWeight & Balanceを行うものの、旅客重量に至っては航空会社のマニュアルに記載された各セグメント(大人、子供、男、女)毎の決まった重量が適用されている実態があります。 

ある航空会社の乗務員・旅客の体重定義

ある人気航空会社のマニュアルでは、各セグメントにおける乗務員及び旅客体重を以下の通り定義し、これを基にWeight & Balanceにより航空機旅客キャビン内の旅客配置を行ったり貨物室内におけるULD搭載ポジションを決定しています。

運航クルー

  • パイロット(男・女) 81KG(体重:75KG +  Carry-On BAG:6KG)
  • 客室クルー(男) 81KG(体重:75KG + Carry-On BAG:6KG)
  • 客室クルー(女) 71KG(体重:65KG + Carry-On BAG:6KG)

旅客

ファーストクラス
  • 12歳以上(男) 90KG(体重:75KG + Carry-On BAG:15KG)
  • 12歳以上(女) 80KG(体重:65KG + Carry-On BAG:15KG)
  • 2歳以上12歳未満 45KG(体重:39KG + Carry-On BAG:6KG)
  • 2歳未満の幼児 8KG(体重 + 食事 + Carry Basket)
ビジネスクラス
  • 12歳以上(男) 85KG(体重:75KG + Carry-On BAG:10KG)
  • 12歳以上(女) 75KG(体重:65KG + Carry-On BAG:10KG)
  • 2歳以上12歳未満 45KG(体重:39KG + Carry-On BAG:6KG)
  • 2歳未満の幼児 8KG(体重 + 食事 + Carry Basket)
プレミアムエコノミー&エコノミークラス
  • 12歳以上(男) 81KG(体重:75KG + Carry-On BAG:6KG)
  • 12歳以上(女) 71KG(体重:65KG + Carry-On BAG:6KG)
  • 2歳以上12歳未満 45KG(体重:39KG + Carry-On BAG:6KG)
  • 2歳未満の幼児 8KG(体重 + 食事 + Carry Basket)

例えば、日本航空B777-300ER型機における旅客キャビン内の座席配置が公表(Configuration W84)されていますが、仮に当機をニューヨーク線に使用した場合の乗務員・旅客の想定重量(体重+BAG)以下のようになると想定されます。

  • パイロット(男/3名) 246KG
  • 客室クル(女/20名) 1,440KG
  • 旅客ファーストクラス(大人男/8名) 720KG
  • 旅客ビジネスクラス(大人男/49名) 4,165KG
  • 旅客プレエコ(大人男/49名) 3,240KG
  • 旅客エコノミ―(大人男/147名) 11,907KG

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  • 合計重量 : 21,718KG

想定では旅客は男性としましたが、乗務員及び旅客の重量で21トンを超えるようになります。これほどの重量が航空機に対してインパクトを与えることになります。

 

【参考】

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フィンエアーの取り組みは安全上当たり前のことではあるが画期的

ここまで安全にこだわる航空会社が、航空機重量の中でも大きな比率を占める旅客重量を正確な数値(=体重)を適用せずWeight & Balanceしていることに大きな疑問があります。ヨーロッパの航空局であるEASAは定期的に旅客重量に関する調査を行い、ヨーロッパの航空会社はEASAによる旅客重量をWeight & Balanceに適用しているようですが、フィンエアの一企業における体重測定は画期的な試みであるので、安全のためにも是非、すべての航空会社は旅客及び荷物の全量検査を実施し正確な数値に基づくWeight & Balanceを実施しより安全性を高める努力をすべきであると思います。

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プライバシーと安全の相反

ただ、そうすることで旅客のプライバシーやチェックインカウンターの混雑などが想定され、安全性確保と旅客利便性が相反することになるものの安全の確保に勝るものはないので旅客にも是非理解してもらう必要があると思います。そう簡単には実現しないと思いますが、、、。 

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