蒼空に近づきたくて

航空業界に生きるアラフォーサラリーマンが航空業界に興味を持ってくれる方々の為に航空機運航に関する豆知識をお伝えしていきたいと思っています。特にニュースとなる航空関係の話題を深堀りし背景等を解りやすく解説するように努めます。航空機運航には多くの「どうして?」が付きまとうので、皆さんの疑問のヒントになれるようなブログサイトを目指していきたいです。

外来生物 vs 食の安全

皆さんが日頃から利用する近所のスーパーマーケットから外資系巨大スーパーにて輸入された野菜や果物を購入することができますが、貨物として「輸入」されるそれら農産物にも所定の諸手続きをとる必要があります。その一つが、旅客が海外より入国する場合と同様に農産物にも検疫(植物検疫)という過程を踏まなければなりません。

輸入とは?

外国から我が国に到着した貨物(外国貨物)を国内に引き取る際には、原則として貨物が保管されている保税地域を管轄する税関官署へ、輸入(納税)申告を行い、税関の検査が必要とされる貨物については必要な検査を受けた後、関税、内国消費税及び地方消費税を納付する必要がある場合には、これらを納付して、輸入の許可を受けなければなりません。(この輸入の許可を受けた貨物は内国貨物となり、いつでも国内に引き取ることが可能となります。)この一連の手続が輸入通関手続です。 なお、関税関係法令以外の法令により、輸入に際して許可・承認等を要する貨物である場合には、税関の輸入許可を受ける前にこれら法令の規定する許可・承認等を受けておく必要があります。税関は、輸入(納税)申告があると、書類の審査及び必要な検査を行い、原則として輸入者が関税等の税金を納付したことを確認した後、輸入を許可します。

【参照:税関HP

上記の通り輸入の手順は関税法に定められており、農産物を輸入しようとする際は予め植物防疫所にて検査を得たうえで検疫病害虫が発見されなかった場合に合格証明書が発行され、それをもとに税関にて輸入通関することになります。

但し、すべての輸入されようとする農産物に病害虫が付着していないとも限らず、植物防疫所における検査にてもし病害虫が発見された場合は所定の消毒を実施し、そのうえで合格証明書が発行されることになります。

消毒を実施する場所

もし植物検疫にて病害虫が発見された場合、植物防疫所は発見された検疫有害動植物名を記載した「消毒(廃棄)命令書」を発給します。それをもとに輸入者は消毒を行ってくれる業者に消毒依頼を行います。但し、消毒を行うそもそもの理由が病害虫の付着であるため、その貨物を市中に輸送することができないので、原則として到着地空港にて消毒を行う必要があります。したがい、国際線が就航している大きな空港の貨物ターミナルには消毒施設が備わっており、輸入者は貨物を取り扱っている上屋会社に消毒依頼を行うことになります。なお、消毒には後で述べますが特殊薬剤が使用されているため、上屋会社は消毒を専門とする業者に当該業務を委託しているのが実情です。

消毒に使用する薬剤

消毒の方法は輸入植物検疫で発見された害虫の種類、植物の種類、消毒方法などで異なります。例えば、次のような消毒方法と消毒期間が定められています。

  • 苗木、穂木、切花

カイガラムシ、アザミウマなどが発見された場合 : 青酸ガスで30分間くん蒸。

その他の害虫が発見された場合 : 臭化メチルで2時間くん蒸。

  • 果実、野菜

カイガラムシやアザミウマなどが発見された場合 : 青酸ガスで30分間くん蒸。

その他の害虫が発見された場合 : 臭化メチルで3時間くん蒸。

はい、ビックリですよね?まさか輸入農産物の消毒に青酸ガスが使用されているなんて驚きますよね?しかしこれら薬剤を使用するのは法律で決まっていて、海外より輸入する植物で病害虫が発見された場合はこの道を通るしかないのです(もしくは輸入せず破棄)。

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食の安全は担保されるのか?

今世間ではオーガニックだの無農薬だの賑わっているものの、輸入農産物については果たしてそれを言うことができるのかと疑いたくもなります。私であれば輸入農産物は青酸ガスや臭化メチルのような明らかに名前を聞いただけでも心配になってしまう薬剤を使用し消毒した農産物を口にはしたいとは思えません、、、。

但し、農林水産省植物検疫所も昨今の食の安全に対する意識の高まりは認識しており、薬剤の残留物調査を論文のような形式で発表していますので、興味のある方は以下リンクを参照して下さい。

http://www.maff.go.jp/pps/j/guidance/r_bulletin/pdf/rb049_009.pdf

植物検疫対象となる農産物とそうでないもの

植物防疫所が検査対象とする植物は以下リンクに掲載されているので参照して下さい。

http://www.maff.go.jp/pps/j/introduction/import/ikensa/pdf/28y108.pdf?a=1130

また、植物であっても輸入植物検疫の対象とならないものもあるので、食べ物を対象に記載します。

  • 製茶、ホップの乾花及び乾たけのこ
  • 発酵処理されたバニラビーン
  • 亜硫酸、アルコール、酢酸、砂糖、塩等につけられた植物
  • あんず、いちじく、かき、キウイフルーツ、すもも、なし、なつめ、なつめやし、パインアップル、バナナ、パパイヤ、ぶどう、マンゴー、もも及びりゅうがんの乾果
  • ココやしの内果皮を粒状にしたもの
  • 乾燥した香辛料であって小売用の容器に密封されているもの

まとめ

海外より輸入しようとする農産物は税関での輸入許可の前提として植物防疫所による植物検疫にて害虫の有無を検査しなければなりません。もし害虫が付着している場合は青酸ガスや臭化メチルを使用し消毒(燻蒸:くんじょう)しなければなりません。従い、スーパーマーケットに陳列されている輸入農産物はこのように消毒されている可能性が高いです。

私たちは法律により定められているこの輸入検疫により外来生物より自分達の国土が守られていることを認識しなければなりません。安価だから、という理由で海外産農産物を購入する方もいますが、食の安全はもちろん、安全な農産物を作ってくれている日本の農家を敬うことも必要です。TPPの発動により安価な農産物の流入は避けられないでしょうけれども、自らの健康を食の安全の観点から守るのであれば、国産農産物を選択すべきと考えます。 

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