蒼空に近づきたくて

航空業界に生きるアラフォーサラリーマンが航空業界に興味を持ってくれる方々の為に航空機運航に関する豆知識をお伝えしていきたいと思っています。特にニュースとなる航空関係の話題を深堀りし背景等を解りやすく解説するように努めます。航空機運航には多くの「どうして?」が付きまとうので、皆さんの疑問のヒントになれるようなブログサイトを目指していきたいです。

航空機に搭載されるコンテナの用途とは?

空港のスポット周辺にはトーイングカーが銀色の箱のようなものを運んでいますが、これをULDと言います。ULDとはUnit Load Deviceの略で、この中に貨物や旅客手荷物を搭載されています。例えば皆さんがチェックインカウンターで預けた荷物はソーティング場という場所までベルトコンベアーにて搬送され、航空会社のバッゲージ担当者の手によってULDに積み込まれます。なお、航空会社によっては上級旅客用のULDも準備され、このULDは貨物室の特等席であるカーゴドアサイドというポジションに搭載され、到着空港では真っ先に取り降ろされターンテーブルまで搬送されます。なお、荷物形状にもよるのですが、目安としてULD(ここではLD3)あたり約30個の荷物が積載されます。

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ULDとは?

ULDには様々な種類のものがありますが、皆さんが一番見慣れているのはLD3というタイプのULDだと思います。これは一般的に旅客手荷物用に使用されるもので、貨物の積載にも使用されます。では、どうして手荷物や貨物の積載にULDを使用するのでしょうか?

例えば、B737型機やA320型機等ナローボディーと呼ばれる航空機に手荷物等を搭載する場合は手荷物を一個ずつ人の手で搭載されるので労力や時間が掛かってしまいます。しかしながらワイドボディと呼ばれる大型機では当然ながら旅客数も多くなるので、限られた時間内で大量の手荷物を搭載するのに手積みを行うとナローボディーよりも更に多くの労力が掛かってしまいます。そこで一度に多くの細かな輸送物を航空機に搭載できるように使用されるのがULDです。そしてULDには使用用途に応じた色々な種類のものが存在します。ULD使用のメリットを以下に挙げてみます。

  • 多くの輸送物(手荷物、貨物等)を一度に航空機に搭載することができる
  • ULDに輸送物を積みやすくする
  • 輸送物ハンドリングを効率化するとともにダメージを防止する
  • 輸送物の紛失やイレギュラーを回避する
  • ULDを貨物室内で容易に扱え、また地上の輸送機材で容易に搬送できる
  • 輸送物を天候より守る

ULDの種類

ULDは大きく分けて2つに分類されます。

  • パレット(Pallet
  • コンテナ―(Container)

よくフレイトフォワーダーの方は貨物を搬送する際の機材のことをパレットと呼びますが、航空会社でのパレットはULDのパレットを指し、貨物搬送用機材のことをスキッド(Skid)と呼びます。

パレットとコンテナーの違いは以下の通りです。

パレット(Pallet

板形状のULDです。一般的に貨物の積載に使用され、手荷物用には使用されません。板状のULDに貨物を積み付け専用のネットで貨物を固縛します。パレットの大きさは航空機貨物室の床の大きさにフィットするように世界基準で規格化のうえ製造されています。またULD(パレット)は航空機に輸送物を搭載するために補助機材という観点より、航空機貨物室内では航空機備品の見なされる為に耐空証明を必要としています。

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コンテナー(Container)

箱型のULDです。手荷物用、貨物用の両方に使用されます。この箱の中に輸送物を積載し、積載後は箱の入り口をドアや幕で閉じます。コンテナーの形状は航空機貨物室内の床の大きさや形状にフィットするように世界基準で規格化のうえ製造されています。なお、最近は航空機の運行重量に制限がある中で多くの輸送物を搭載できるようにコンテナーの素材改良がおこなわれ、以前は100kgを超えていたLD3が今や50kg台にまで軽量化され有償輸送物(ペイロード)の最大化に一役買っています。またULD(コンテナー)は航空機に輸送物を搭載するために補助機材という観点より、航空機貨物室内では航空機備品の見なされる為に耐空証明を必要としています。

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ULDには認識番号が付いている

ひとつひとつのULDには認識番号が付いています。従い航空会社は世界中のどの空港にどのULDが保管されているか把握できます。一般的にどの航空会社も1週間に一度ULDインベントリーを実施し、世界中の空港よりULD在庫を報告させています。では、ULDの認識番号(ULD番号)の仕組みについて深掘りしたいと思います。

基本的にULD番号はAKE12345JLというようにアルファベット3文字、5桁(もしくは4桁の数字)、アルファベット2文字で構成されています。

数字の前のアルファベット1文字目の意味(AKE12345JL)

パレットなのかコンテナーなのか、ULDのカテゴリーを示します。また耐空証明を取得しているULDかどうかも判別できます。以下は代表例です。

  • A:コンテナー(耐空証明有り)
  • D:コンテナー(耐空証明無し)
  • R:保冷用コンテナー(耐空証明有り)
  • P:パレット(耐空証明有り)

「R」というコンテナーは貨物を保冷する目的で使用され、輸送品目としては冷凍食材をはじめ医薬品や化学品等多岐に亘り、充電機能を有し冷蔵庫のように温度設定可能です。世界にはこのタイプのULDを開発する企業もあり航空会社にリースし貸し出しています。

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数字の前のアルファベット2文字目の意味(AKE12345JL)

ULDの底面サイズを示します。以下は代表例です。

  • A:88 x 125 inch("ハチハチ"と呼ばれています)
  • K:60.4 x 61 1/2 inch
  • L:60.4 x 125 inch(「K」の2つ分の大きさです)
  • M:96 x 125 inch("クンロク"と呼ばれています)

数字の前のアルファベット3文字目の意味(AKE12345JL)

ULDの形状および航空機の搭載可能場所を示します。以下は代表例です。

  • E:以下画像の形状をご参照下さい。下部斜めのライン(Overhang)は航空機貨物室に形状に沿っているため、積載効率が高くなります。

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  •  F:ULDの両側下部斜めのライン(Overhang)は航空機貨物室に形状に沿っているため、積載効率が高くなります。以下画像をご参照下さい。

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  •  P:直方体の形状です。以下画像をご参照下さい。

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5桁(もしくは4桁)の数字の意味(AKE12345JL)

そのULDを保有する航空会社によって付けられたシリアルナンバーです。

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Aviation Wire様より引用(http://www.aviationwire.jp/archives/36415

最後のアルファベット2文字の意味(AKE12345JL

そのULDを保有する航空会社の2レターコードであり、これをオーナーコードと呼んでいます。「JL」の場合は日本航空保有者で、「AA」の場合はアメリカン航空といった具合です。なお、ここ最近は航空会社による保有資産の圧縮やULDインベントリーを容易にするために航空会社はULDをリースする傾向が高くなっています。その場合、航空会社に代わってリース会社がULDインベントリーを実施したり、世界各空港のULD在庫による偏在調整等も行っています。例えばUNILODE社は世界各国の主要航空会社を顧客に持ち、オーナーコード「R7」を使用しています。したがい、同じ空港にA社とB社が就航していて両社ともに「R7」ULDを使用している場合、例えばA社にて使用するULDが少なくなった際はB社在庫分よりA社に貸し出すといったことをUNILODE社は行っています。

www.unilode.com

ULDにも重量制限がある?

航空機に重量制限があるように、各ULDにも重量制限があります。それは航空機の強度に基づいて規程されている重量であり、絶対に超えてはなりません。例えばAKEの場合のULD重量は1,587kg(航空会社によって1,588kg)となっているので、1kgでも多く超過してはなりません。従い、各航空会社は制限重量内でより多くの(重い)貨物を搭載し有償輸送するために、より重量の小さなULDを導入する傾向があります。

例1)1,588kg(ULD制限重量)-76kg(ULD自重)1,512kg(積載可能重量)

例2)1,588kg(ULD制限重量)-55kg(ULD自重)1,533kg(積載可能重量)

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まとめ

航空機に輸送物を効率よく、またダメージや紛失を防止するためにULDを使用します。ULDは用途に応じた形状があり、形状や航空会社管理番号はULD番号にて認識することができます。航空会社は有償輸送物(ペイロード)の最大化を図るためにULD自重の小さいものを導入する傾向があり、またULD管理を容易にしたり資産圧縮のためにリースULDを使用するようになっています。

参考記事 

www.fusafusagoumou.jp 

www.fusafusagoumou.jp 

www.fusafusagoumou.jp 

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